2017-04-03

海外で働きたいと思ったら(海外就職・転職):シンガポール編

シンガポールでの就職・転職について聞かれることが多いので、改めて情報を取りまとめました。
あくまで海外就職・転職経験者である私個人として、シンガポールでの就職・転職をするにあたって役立つだろうと考えている情報を掲載している点ご了承ください。
(本格的にお考えの方は、以下に記載のエージェントに直接お問い合わせされることをお勧めします。何か新しい情報があれば、今後随時更新したいと思います)

まずは情報収集から
最近ではインターネット上だけでも海外就職・転職に関する情報が多数得られるようになりました。その中でも個人的に内容が信頼できて充実していると感じる情報元は以下の通りです

GJJ
GJJさんはグローバル人材塾が運営されている海外就職についての求人・情報サイト。
定期的に海外就職に関する説明会等も開催されていますので、より具体的な情報が知りたい場合は説明会等に参加されることをお勧めします。

アブローダーズ
アブローダーズさんは日本の人材関連会社ネオキャリアが運営する、海外特にアジアで働く日本人に特化した情報サイト。
シンガポールのみならず、アジアを中心とした海外で生活する日本人が、現地での仕事や生活の様子について情報発信されています。それぞれの方のリアルな体験談や各国の生活環境を知るのに役立ちます。

・ErisaさんのBlog “新卒セカシュー啓蒙プロジェクト”
いきなり個人のBlogですが、何を隠そう、こちらのErisaさんは元同僚です(笑)
難しいと言われる新卒でのシンガポール就職を実現した彼女なりの視点で、シンガポールでの仕事探しから、生活全般まで幅広く情報発信されています。また発信された内容がHuffinton Postなどにも転載されたりしています。シンガポールで就職をしようと考えている新卒の方、20代中盤ぐらいの若手社会人の方には特に参考になるかもしれません。

海外での仕事探しで留意すること
日本での就職・転職活動と海外での就職・転職活動の大きな違いのひとつは”就労ビザ”の有無です。日本で就職・転職する場合は、日本国民である以上就労ビザなどを取る必要はまったくありません。一方、海外で仕事をする場合は私たちがその国にとっては”外国人”となるため、通常働くための許可である就労ビザが必要です。就労ビザが発行される仕組みや条件は各国によって異なります。特にシンガポールは近年就労ビザを取得できる基準が厳しくなっています。働く本人の学歴や経歴や年収などはもちろん、雇う側の会社の資本金やシンガポール人従業員数など、また経済環境(景気の良し悪し)によっても就労許可がおりる・おりないの状況が変わってきます。最悪の場合、会社からはオファー(内定)をもらったけれど、就労ビザがおりない、という可能性もゼロではありません。日本での仕事探ししか経験したことしかない場合忘れがちな点ですが、とても重要で、就職・転職の前提となる話です。より詳しい状況について知りたい方は、上記に記載の転職エージェントにお問い合わせください。(私は現在シンガポールでは転職エージェントの仕事をしていないため、詳細については回答できかねます。ご了承下さい。)
具体的に仕事を探す
シンガポールでの就職をより真剣に考えているという方については、以下の方法で具体的な仕事を探すことが可能です

①転職エージェントに話をきく:
海外での仕事探し、シンガポールでの仕事探しが初めての人にとっては、まずは仕事や生活事情なども含めて直接聞くことができる転職エージェントにコンタクトをとってみるのがまずは安心かもしれません。
シンガポールで、日本人の採用の案件に関して評判や実績をよく聞くのは以下のエージェントです。
・JAC Singapore(ジェイエイシー・シンガポール)
・Intelligence Asia(インテリジェンス・アジア)
・REERACOEN(リラコーエン)

LinkedInを使って自分で探す:
シンガポールを含めた海外では、ビジネス系SNSと言われるLinkedInを使った直接採用や就職・転職活動も盛んです。
LinkedIn上で興味がある会社を探したり、興味のあるポジションの募集を探すことができます。
応募する際には、LinkedIn上の自分自身のプロフィールの内容も可能な範囲で充実させておきましょう。

③興味のある会社のウェブサイトから直接探す
シンガポールで仕事をしている日本人の友人の何名かから、シンガポールで転職をする際に、興味がある会社のウェブサイトから募集中のポジションを見つけて、直接応募したという話を聞きました。
就職・転職するにあたって、自分だけですべて話を進められる自信のある方、また興味のある会社や応募したいポジションがある程度明確な方はこちらの方法を試してみてもよいかもしれません。外資系の会社であれば本社のサイト(英語のサイト)のみに求人が出ていることもあります。

シンガポール生活のネガティブポイント

シンガポールでの生活や就職・転職に関する良い情報はすでにインターネット上にあふれていると思いますので、ここでは人によってはつらい、しんどい、と感じる可能性のあるシンガポールでの仕事や生活環境に関するネガティブポイントと、それぞれに対して私がどう感じているかを記載しておきます。

・職場で”育てる”文化がない?
日本の大手企業比較をすると、外資系の会社、シンガポールの会社は”育てる”文化があまりないかもしれません。日本の会社であれば、新卒で入社すればなおのこと、名刺の渡し方・あいさつの仕方から手取り足取り仕事を教えてもらえ、場合によっては1−2年はトレーニング期間と捉えた人材育成をする会社もあります。一方シンガポールの会社は一般的に早々に即戦力になることが求められます。これは新卒で入社をしたとしても同じです。実務のトレーニングはもちろんありますが、それも数日もしくは長くて数週間。あとは実務で対応しながら覚えていくOJT(On the job trainingの略)がほとんどかと思います。
私自身、新卒の時には日本である程度従業員規模(数千人)のある会社に入社したので、新卒向けの研修プログラムは充実していたほか、部署に配属され、実務に関わるようになってからも、年の近い先輩と同期のチームメンバーとで毎日日経新聞の読み合わせをしたり、年の近い先輩が”メンター”として日々1対1でミーティングをしてくれたりと、手取り足取り面倒をみてくれました。もちろん会社によって、マネージャーによって個別に事情は異なりますが、シンガポールの会社ではおそらくそんな風にゆっくり人を育てるというようなカルチャーはありません。必要かどうか、良いか悪いかは別として、新卒でシンガポールで就職をする場合には、細かな日本での社会人生活で必要とされる常識や礼儀などを学ぶことはできないかもしれません。でも今後もずっと海外で働いていくということであれば、それ自体知る必要もないかもしれません。ということで、この環境が良いかそうではないかは人それぞれですが、”早期に即戦力になることが求められる”ということはおさえておいたほうが良いかと思います。

・家賃が高い?一人暮らしができない?
シンガポールは一人暮らし向けのマンションやコンドミアムが少ないこともあって、一人暮らしをしようとすると日本よりもコストがだいぶ高くなります。一人暮らし用の住居を借りようとするとだいたい少なくとも2,000SGDぐらい。もちろん住居のクオリティや立地によってはそれ以上のところもたくさんあります。そういう環境もあり、多くの20代・30代の日本人を含めた外国人労働者は3ベットルーム等のコンドミニアムや公団住宅をシェアしています。シェアした場合の家賃は、マスタールーム(専用バスルーム付き)で1,500-2,000SGD、コモンルーム(バスルームをもう一人もしくは二人のルームメイトとシェア)1,000SGD-1,500SGDぐらい。日本での相場と比べると、シェアをしたとしてもちょっと割高だと思います。
一方でシンガポールは税金がとても安い!給与も、額面の給与がそのまま銀行口座に振り込まれ、税金は1年稼いだあとにその稼いだ額に応じて翌年支払いますが、最大でも20%程度。1,000万円ぐらいまでの年収であればおそらく5-7%前後ぐらいの所得税になるはずです。日本で働いていたときに地方税や社会保険料などで天引きされていたぐらいの費用を家賃の予算として上乗せする、というような考え方もできるかもしれません。また一人暮らしもまったく不可能なわけではありません。またルームシェアも、慣れない海外生活で何か困ったことがあった時に助けてもらえたり、ルームメイトを通して友達の輪が広がったり、特に生活を始めたばかりの頃にはメリットも多々あります。

・シンガポールは狭いので飽きるかも?
シンガポールの国土全体は、東京23区とほぼ同じ大きさと言われています。そう考えると、名前が知られている割にとても小さい国だということがよくわかります。
大手企業のオフィス、特に金融やIT関連などを中心としたビジネスの拠点はCBD(Central Business District)に集約されていています。(CBDをざっくりわかりやすくいうと、あの有名なマリーナベイザンズがあるマリーナベイを囲んだ周辺のオフィス街のこと)大規模なショッピングモール・商業施設があるエリアは中心地に集約しているので、買い物をするところも、友達と会ったり遊んだりごはんを食べたりする場所もだいたい行くエリアというのが決まってきます(ただ飲食店は行ききれないぐらいものすごい数があり、入れ替わりも激しいです)。そうすると生活がワンパターン化してきて飽きる、という人もいたりします。一方で、小さい国のメリットは、どこに行くにも近いこと。通勤もたいていバスやMRT(地下鉄)で30分以内、日本のような満員電車も一部の路線の一部の時間帯を除いてはありません。いろんなことがコンパクトにすむので、毎日の生活がとても楽です。また国内は小さいけれど、東南アジアの真ん中にあるシンガポールは周辺のどの国にも旅行しやすい立地。チャンギ空港はとても便利で使い勝手のよい空港なので、さくっと週末だけで海外にいくこともできます。
それからもうひとつ言えるのは、確かに”いく場所”という視点で見ると飽きてくる可能性のあるシンガポールですが、”出会う人”という視点で見ると、ほんとうにものすごく様々なバックグラウンドの人、また住んでいる人から出張できている人までいろいろで、飽きることがありません。狭いこともあってか、有名な人、日本だったら出会うことがないようなハイポジションの人に、気軽に会えてしまったりもします。シンガポール生活において、何を求めるかは人それぞれですが、狭いからこそのメリットもたくさんあります。

・友達づくりが大変?
シンガポールはアジアや東南アジアのビジネスハブということもあり、外国人労働者がたくさんいます。駐在できている人の任期は多くの人が2-3年。また現地採用で働いている人も、もちろん5年以上シンガポールに住んでいて、PR(永住権)を持っている人もいますが、3-5年ぐらいを目処に、母国に帰る、またはシンガポールでも母国でもない第三国に引っ越すというパターンが多いように思います。出会いの場やネットワーキングの機会には事欠かないシンガポールですが、その分出入りも激しく、せっかく仲良くなった友達が引っ越してしまう、ということもよくあります。日本だとほとんどの人が日本にいて、またいつでも会える、ということが多いけど、シンガポールはそれが約束されていません。そういう点では、特定の友達に依存しないこと、また常に新しい人たちと知り合って仲良くなっていくというタフさが必要ではあります。一方で、シンガポールに住んでいるだけで、いろいろな国を故郷に持つ友達ができて、将来お互いの国に遊びに行ったり、どこかに一緒に旅行にいったりできるようなフットワークの軽い友達もたくさんできます。

シンガポールでの仕事や生活環境に関する”ネガティブポイント”として書かせていただきましたが、捉え方次第、受け取り方次第でポジティブにもネガティブにも、メリットにもデメリットにもなり得る点、おわかりいただけたかと思います。

冒頭にも書きましたが、こちらの内容はあくまで海外就職・転職経験者である私個人の経験に基づく個人的な判断での情報である点ご了承ください。
シンガポールに住んでみたい、仕事をしてみたいと思っている方にとって、何かお役に立つ情報がありましたら嬉しく思います。

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